【糖尿病と熱中症】
こんにちは。
今回は、糖尿病内科専門医の立場から、「糖尿病と熱中症」についてわかりやすく解説します。
暑い季節になると、毎年のように熱中症による救急搬送が増加します。
実は糖尿病のある方は、熱中症になりやすく、重症化しやすいことが知られています。
「血糖値と熱中症に関係があるの?」と思われる方も多いかもしれませんが、実は深い関係があります。
⬛︎なぜ糖尿病の人は熱中症になりやすいのか?
① 脱水になりやすい
血糖値が高い状態では、余分な糖を尿として排泄しようとするため尿量が増えます。
その結果、
・頻尿
・体内の水分不足
・脱水
が起こりやすくなります。
特に血糖コントロールが不十分な方では、夏場に知らないうちに脱水が進行していることがあります。
② 汗をかきにくくなることがある
長年の糖尿病では、自律神経障害が起こることがあります。
自律神経は体温調節にも関わっており、
・汗をかく
・血管を広げる
といった働きを担っています。
自律神経障害が進むと汗が出にくくなり、体温を下げる能力が低下します。
そのため、気温が高い環境では熱が体内にこもりやすくなります。
③ のどの渇きを感じにくくなる
高齢者に多いですが、
・加齢
・糖尿病による神経障害
によって、のどの渇きを感じにくくなることがあります。
「喉が渇いてから飲む」では遅い場合もあります。
④ 腎臓への負担が大きくなる
熱中症による脱水は腎臓への血流を減少させます。
糖尿病性腎症がある方では、
・急性腎障害
・腎機能悪化
につながることもあります。
⬛︎糖尿病の薬にも注意
糖尿病治療薬の中には、脱水に注意が必要なものがあります。
代表的なのが、
SGLT2阻害薬
・ジャディアンス
・フォシーガ
・カナグル
などです。
これらの薬は尿中へ糖を排泄することで血糖値を下げるため、尿量が増えることがあります。
通常は非常に有用な薬ですが、
・発熱
・下痢
・食欲不振
・大量発汗
がある場合は脱水リスクが高まります。
体調不良時の薬の扱いについては、あらかじめ主治医に確認しておくことが大切です。
⬛︎熱中症予防のポイント
① こまめな水分補給
おすすめは
・水
・麦茶
・ノンカフェインのお茶
です。
「のどが渇く前に飲む」ことを意識しましょう。
目安としては、少量ずつ定期的に補給することが重要です。
② エアコンを我慢しない
「電気代がもったいないから」と我慢する方もいますが、室内でも熱中症は起こります。
室温が高い日は、
・エアコン
・扇風機
を適切に利用しましょう。
③ 血糖コントロールを整える
高血糖は脱水を悪化させます。
日頃から
・食事療法
・運動療法
・薬物療法
を継続し、良好な血糖管理を目指すことが熱中症予防にもつながります。
④ 外出時間を工夫する
真夏の
・午前10時~午後4時頃
は特に気温が高くなります。
散歩や運動は、
・早朝
・夕方以降
がおすすめです。
⬛︎こんな症状があれば要注意
以下の症状がある場合は熱中症の可能性があります。
・めまい
・立ちくらみ
・強い疲労感
・頭痛
・吐き気
・筋肉のけいれん
・異常な発汗
・意識がぼんやりする
特に糖尿病の方は症状が進行しやすいため、早めの対応が重要です。
⬛︎まとめ
糖尿病の方は、
・脱水になりやすい
・体温調節がうまくいかないことがある
・腎機能障害を合併しやすい
といった理由から、熱中症のリスクが高くなります。
特に夏場は「血糖管理」と「水分管理」の両方が重要です。
熱中症は予防できる病気です。
こまめな水分補給、適切な室温管理、そして良好な血糖コントロールを心がけ、暑い季節を安全に過ごしましょう。
糖尿病のある方は、「まだ大丈夫」ではなく、「早めに予防する」ことが熱中症対策の基本です。
