【糖尿病と熱中症】

2026.06.09

こんにちは。

今回は、糖尿病内科専門医の立場から、「糖尿病と熱中症」についてわかりやすく解説します。

 

暑い季節になると、毎年のように熱中症による救急搬送が増加します。

実は糖尿病のある方は、熱中症になりやすく、重症化しやすいことが知られています。

「血糖値と熱中症に関係があるの?」と思われる方も多いかもしれませんが、実は深い関係があります。

 

 

⬛︎なぜ糖尿病の人は熱中症になりやすいのか?

 

脱水になりやすい

血糖値が高い状態では、余分な糖を尿として排泄しようとするため尿量が増えます。

その結果、

・頻尿

・体内の水分不足

・脱水

が起こりやすくなります。

特に血糖コントロールが不十分な方では、夏場に知らないうちに脱水が進行していることがあります。

 

汗をかきにくくなることがある

長年の糖尿病では、自律神経障害が起こることがあります。

自律神経は体温調節にも関わっており、

・汗をかく

・血管を広げる

といった働きを担っています。

自律神経障害が進むと汗が出にくくなり、体温を下げる能力が低下します。

そのため、気温が高い環境では熱が体内にこもりやすくなります。

 

のどの渇きを感じにくくなる

高齢者に多いですが、

・加齢

・糖尿病による神経障害

によって、のどの渇きを感じにくくなることがあります。

「喉が渇いてから飲む」では遅い場合もあります。

 

腎臓への負担が大きくなる

熱中症による脱水は腎臓への血流を減少させます。

糖尿病性腎症がある方では、

・急性腎障害

・腎機能悪化

につながることもあります。

 

 

⬛︎糖尿病の薬にも注意

 

糖尿病治療薬の中には、脱水に注意が必要なものがあります。

代表的なのが、

SGLT2阻害薬

・ジャディアンス

・フォシーガ

・カナグル

などです。

これらの薬は尿中へ糖を排泄することで血糖値を下げるため、尿量が増えることがあります。

 

通常は非常に有用な薬ですが、

・発熱

・下痢

・食欲不振

・大量発汗

がある場合は脱水リスクが高まります。

 

体調不良時の薬の扱いについては、あらかじめ主治医に確認しておくことが大切です。

 

 

⬛︎熱中症予防のポイント

 

こまめな水分補給

おすすめは

・水

・麦茶

・ノンカフェインのお茶

です。

「のどが渇く前に飲む」ことを意識しましょう。

目安としては、少量ずつ定期的に補給することが重要です。

 

エアコンを我慢しない

「電気代がもったいないから」と我慢する方もいますが、室内でも熱中症は起こります。

室温が高い日は、

・エアコン

・扇風機

を適切に利用しましょう。

 

血糖コントロールを整える

高血糖は脱水を悪化させます。

日頃から

・食事療法

・運動療法

・薬物療法

を継続し、良好な血糖管理を目指すことが熱中症予防にもつながります。

 

外出時間を工夫する

真夏の

・午前10時~午後4時頃

は特に気温が高くなります。

散歩や運動は、

・早朝

・夕方以降

がおすすめです。

 

 

⬛︎こんな症状があれば要注意

 

以下の症状がある場合は熱中症の可能性があります。

・めまい

・立ちくらみ

・強い疲労感

・頭痛

・吐き気

・筋肉のけいれん

・異常な発汗

・意識がぼんやりする

特に糖尿病の方は症状が進行しやすいため、早めの対応が重要です。

 

 

⬛︎まとめ

 

糖尿病の方は、

・脱水になりやすい

・体温調節がうまくいかないことがある

・腎機能障害を合併しやすい

といった理由から、熱中症のリスクが高くなります。

特に夏場は「血糖管理」と「水分管理」の両方が重要です。

 

熱中症は予防できる病気です。

こまめな水分補給、適切な室温管理、そして良好な血糖コントロールを心がけ、暑い季節を安全に過ごしましょう。

 

糖尿病のある方は、「まだ大丈夫」ではなく、「早めに予防する」ことが熱中症対策の基本です。